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技能実習制度における受入れ機関の今後は?

過日、出入国管理政策懇談会・外国人受入れ制度検討分科会(以下「分科会」といいます)から、法務大臣に対して、技能実習制度の見直しの方向性に関する検討結果が報告されました。平成25年11月から本年5月までの間に8回開催されたこの分科会では、技能実習制度についての問題点や課題を洗い出し、今後の方向性についての議論が行われました。

この報告書は、技能実習生受入れを行っている監理団体や実習実施機関(以下「受入れ機関」といいます)に対しても、大きな影響を与えます。そこで、以下、受入れ機関に関わる点に主な照準を合わせて、報告書を概観していきます。

まず、技能実習制度の存続の適否については、これを廃止すべきとの少数意見もあったものの、種々の問題点を徹底的に改善した上で、同制度の活用を図るべきではないかという意見が分科会での大勢を占めています。

そして、制度の見直しに当たっての留意点としては、

☆制度の趣旨・目的である「技能等の修得及び移転を確実に達成する受入れ機関についてのみ受入れを認め」、技能実習生の人権保護の強化や監理団体の監理体制の強化・関係機関による監視体制の構築を目指し、「技能実習制度から不適正団体を排除するような見直しを行っていくべき」こと

☆「優良な受入れ機関に集約化する意味で、優良な受入れ機関に制度の拡充を認めていく方向で見直しを行っていくべき」こと

☆「不正行為を確実に取り締まり」、「技能実習生の保護・支援を強化・充実させる方向で見直しを行っていくべき」こと 等

が掲げられています。

これらの留意点に向けた具体的方策として、例えば、次のような提言がなされています。

☆監理団体の責務を法定化する

☆外部から理事・監事を登用する

☆優良な監理団体に対して優遇措置(期間延長・再技能実習、受入れ人数上限見直し)を認める

☆入管職員の権限を強化する

☆入管、労働基準監督署、その他関係機関間の連携を強化し、受入れ機関に対する指導・監督体制や取締り体制の強化を図る 等

この報告書からは、今後、益々、行政機関の受入れ機関に対する監視体制が強化されていくことが予想されます。そして、制度の趣旨・目的から離れた利用や人権侵害・不正行為を行う受入れ機関は次々に淘汰され、「優良な」機関に集約されていくことがおわかりになると思います。

生き残る受入れ機関になるためには、人権意識を高め、入管法令・労働関係法令等の関係法令を順守して、技能実習制度の制度目的にかなった利用を行うことが求められます。当事務所は、入管法令・労働関係法令に精通した行政書士・社労士が所属しております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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